時代の荒波を乗り越えて、今年創業100周年!
2023年11月に100周年を迎える「田巻屋」は、三代目の田巻雄太郎さん(50歳)が店を継いでいる。初代の祖父・田巻賢七郎さんは新潟県出身。日本橋三越で呉服商の知識を身に付け、関東大震災の翌年、大正13年に江東区高橋で独立。当時は露店で販売したほか「背い呉服屋」として、得意先に出向いて商いをしていたという。
現在の地に看板を掲げたのは戦後まもない昭和21年。「マルに巻」のマークに「田巻屋呉服店」の屋号。店は今の三分の一ほどの広さだった。「昭和30年代までは近所のお寺さんや都内の一流ホテルなどで展示会を開くと、高級な着物が飛ぶように売れた時代でした」とは勤続63年、初代の時から勤務している松原茂さん(80歳)。今も三代目の良き相談相手となっている。
雄太郎さんは20年近く、ブライダルジュエリー会社の役員として経営に加わり、全国を飛び回っていたが、8年前に親の説得に負けてこの道へ。
得意先を大事にしながらも新しい顧客を増やそうと、様々な取り組みにチャレンジ。その一つがカジュアルなデニム着物の販売。老舗呉服店としては画期的な試みだ。これまでの着物のイメージを一新したことで大きな話題となり、男女を問わず若者にも受け入れられた。
また、外国人観光客に人気のゆかたを一年中取り扱うなど、時代に即した店づくりをはじめている。
「安さだけを売りにする店ではなく、幅広いお客様のニーズに合わせた品揃えと通販にも力を入れたい」と雄太郎さん。
お店のSNSでは日本の着物文化の良さを発信。成人式の艶やかな晴れ姿や、自分流に着物を着こなす若いお客様の笑顔の写真が並んでいる。
◎京呉服の店『田巻屋』清澄白河店
江東区三好2−13−3 ☎03-3641−5298/10:00〜18:30/水曜日定休【公式サイト】
◎「砂町銀座店」江東区北砂5−1−29 ☎03-3640−5298/10:15~18:30 水曜日定休
※この記事はタウン誌「深川」270号に掲載したものです。