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【屋号ものがたりVol.14】備長焼鳥『深川まごろく』

地元に根ざして、この地で三代

三代目の新堀敏也さん

現在の地で備長焼鳥『深川まごろく』の屋号を引き継いでいるのが3代目になる新堀敏也さん(45)。

戦前、祖父の実さんがこの地で居酒屋『孫六』を開いたのが始まり。店名は初代が愛用していた包丁「関孫六」から名づけた。「関孫六」は、元々「孫六兼元」作の銘刀として江戸時代にその名をはせた。初代はこの銘刀の名に恥じない料理人を目指していたのだろうか。

初代がこの地で営んでいた「孫六」。左は祖母の富美子さん

二代目の父・重夫さんは寿司職人となり店を引き継いだが、敏也さんが13歳の時に他界。父の背中を見てきた敏也さんは、高校を卒業後すぐに「大阪吉兆」へ。3年の修業後、好物だった鶏料理の世界も覗いてみたいと銀座の「鳥繁」で2年ほど修業を積んだ。

「当時の鳥繁には焼き場に大将が3人いて、同じ素材でも焼き方一つで味が違うんですよ」と、その奥の深さに魅せられという。

2000年、24歳の時に現在の店を開いた。「屋号を残すというよりも代々暮らしてきた深川の地に根ざしていたい、そんな気持ちが強い」。

鶏を一羽まるごとさばいて提供する焼鳥は美味しいとすぐに評判に。

10年ほど前からは本格的にマガモ、猪、エゾ鹿など贅沢な野生の恵みを料理に加えた。中でもエゾ鹿は北海道の猟師さんから直接買い付けている。「一度、鹿鍋を食べに来てください。しゃぶしゃぶで味わった後はみそ味にしてお出しする。最高に旨いですよ」。

一流店で学んだ料理を基本に敏也さん独自の味を存分に発揮している

備長焼鳥『深川まごろく』 江東区牡丹3−6−1 TEL.03-3641-3831 月曜日定休
17:00~23:00/土・日・祝16:30~22:00


 

※この記事はタウン誌「深川」264号に掲載したものです。