「豊かな歴史をもつ東京を地図で表現したい」。市川市在住の小島豊美さん(75)が、江戸、明治、現代の3つの時代の地図を重ねて見る「東京歴史マップマップ」を制作し、昨年1月からホームページで公開している。
江戸天保期(1831〜1845)、明治後期(1907頃)、現代の3つの時代を重ねて見ることができるほか、町名、武家屋敷、寺社、老舗などのポイントデータを地図に反映することもできる。
「私にとっては町名の変遷が大テーマで一覧表も作っています。自分の住む町の歴史や文化を可視化することで、見た人の意識も変わるのではないか」とは、小島さん。
重ね地図を使えば、時代とともに町名が変化していることに気づき、様々なポイントデータからは町の表情も見えてくる。今後は昭和の戦前・戦後の地図なども加えたいと意気込む。
小島さんは墨田区両国の回向院のそばで生まれ育ち、父の貞二さんは元力士で、引退後は相撲ライターや放送作家、演芸・相撲評論家として活躍。富岡八幡宮の大関力士碑や巨人力士身長碑の建立に尽力した人物でもある。
一方、小島さんはポニーキャニオンに入社し、「ひらけポンキッキ」の楽曲制作や「およげ!たいやきくん」をはじめ、数々のこども向け音楽のプロデュースを手掛けてきた。独立後は活動の幅を広げ、重ね地図の制作を始めたのは20年以上前から。ライフワークとしてほぼ一人でコツコツと作り続けている。
「今後はかつての銭湯や寄席など、一般的な地図には記載されていなかった施設も資料から掘り起こして加えたい。ぜひ多くの人に東京の歴史を知ってもらいたい」。小島さんの奮闘はまだまだ続く。
※この記事はタウン誌「深川」277号に掲載したものです。