墨田区千歳にあるマンションの一室に、隅田川が一望できるステキな私設図書館がある。オーナーは江東区文化観光ガイドとして活躍する渡辺信夫さん(71)。特注でつくってもらったという本棚には、趣味で集めた江戸、落語、音楽、江戸風俗などの書籍が約5,000冊。戦前のジャズの復刻CDなども揃っている。
「本好きなら誰もが一度は考えるけれど、一度は脱サラして古本屋になることを夢見ましたが、甘くない現実を知りいったんは挫折しました」。その後、仕事の退職を機に両親が住んでいた部屋を改装し2009年に私設図書館をオープンした。
隅田川の眺めの良さと、「春のうららの隅田川…」でおなじみの童謡『花』から「眺花亭」と命名。蔵書は今となっては貴重なものも多く、最も古いのは明治16年『東京妓情』で花街を紹介したガイド本。また昭和30年発行『花柳界』創刊号には、都内各所の芸者衆の艶やかな写真や、富岡にあった鰻屋「宮川」の主人で随筆家の宮川曼魚の随筆なども収録されている。
「ボランティアガイドをする上で役立っている本も多いですよ。いつか読もうと思って買うけど、まだ読んでない本もたくさんあります。うちにいるとカミさんがうるさいから、ここは逃げ場なわけですよ」と笑う渡辺さん。
渡辺さんのいれたコーヒーや紅茶をいただきながら読書を楽しむも良し、物知りな渡辺さんとのおしゃべりも楽しい。居心地も良く、時間の経過も忘れてしまいそう。
◎墨田区千歳1-1-6 両国マンション500号 TEL.090-1213-9804
※来館の際は事前に要連絡。入館料500円
※この記事はタウン誌「深川」262号に掲載したものです。