江東区森下文化センターの正面玄関に「のらくろ」の木彫像がお目見え。大きな愛らしい目をぱっちり開いて来館者を出迎えてくれる。
のらくろは昭和6年から雑誌『少年倶楽部』に連載された漫画で、戦前のこどもたちに絶大な人気を誇った国民的キャラクター。作者の田河水泡さんは、幼少期から青年期まで現在の江東区福住で育った。
木彫像を制作したのは、江東区無形文化財保持者で東京都伝統工芸士でもある木彫職人の渡邉美憲さん(江東区石島在住・76歳)。森下文化センター1階にある「田河水泡・のらくろ館」が2024年に25周年を迎えることから、同館が新たな目玉として木彫のらくろ像の制作を企画した。
「のらくろ館に展示されている人形や絵を何度も見て、イメージを損なわないよう制作しました。のらくろを見たことがない子どもたちに知ってもらえたらうれしい」とは渡邉さん。
「未来につなぐ飛脚のらくろ」と名付けられた木彫像は、高さ110センチ、幅59センチ。ヒノキを複数組み合わせた寄せ木造りで、おなかの中には来館者から募集した未来に向けたメッセージも格納。メッセージは5年後に開けて展示する予定だ。
木彫像は観賞するだけでなく、なんと直接触ることもできる。同センター職員の大塚梓さんは「白木が黒っぽく変化するまで、撫仏のように皆さんに撫でてもらいたい」と話している。
◎森下文化センター 江東区森下3-12-17 TEL.03-5600-8666 【公式サイト】
※この記事はタウン誌「深川」275号に掲載したものです。