ポルトガルの仮面の祭りを追いかけ10年、写真家で俳人でもある藤原暢子さん
世界各地には様々な奇祭がある。ポルトガルの北東部、スペイン国境に近いトラス・オス・モンテス地方に伝わる祭りもその一つ。若者が木彫や鉄製の仮面をつけ、毛織物などの衣装に家畜用の鈴を身につけて、イタズラしながら家々をまわる。
「日本のなまはげのようです」と話すのは、東京都小平市の写真家で俳人の藤原暢子さん(44)。
藤原さんはポルトガル留学中にこの風変りな祭りに魅せられて以来、風習を記録し、紹介することをライフワークにしている日本の第一人者。4月9日から2週間、墨田区緑1丁目の『フリースペース緑壱』で写真展「北へ Ⅶ─ポルトガルの村祭─」を開催した。
仮面の祭りは冬至の頃に行なわれるキリスト教由来ではない古い祭礼で、ケルト(インド・ヨーロッパ語系のヨーロッパ先住民族)が起源ともいわれる。
しかし地方の過疎化がすすんでおり「祭りには国内外に散った村人が戻ってくる。日本のお盆の祭りが盛り上がることと似ている」と、藤原さん。
藤原さんは若手俳人の登竜門「北斗賞」を受賞した新鋭作家でもあり、本誌連載中の『江東歳時記をあるく』も読んでくださっているとか。「石田波郷も芭蕉もいる深川は面白い」と話していた。作品は藤原さんのホームページでも閲覧できる。
※この記事はタウン誌「深川」271号に掲載したものです。