地下鉄8号線(有楽町線)延伸構想は、東京メトロ豊洲駅と住吉駅間を、東西線東陽町駅を経由して結ぶ全長約5.2km。豊洲―東陽町、東陽町―住吉間にはそれぞれ新駅を設け、豊洲と住吉が乗り換えなしの9分で結ばれる計画です。
現在、江東区の南北移動は都営大江戸線のみで都バスが頼り。東西交通に関してはJR総武線、都営新宿線、東西線などありますが、通勤時間帯の東西線の混雑率は門前仲町―木場駅間で199%(2019年度)と、4年連続全国ワーストを記録しています。
地下鉄8号線が延伸すれば、南北移動の利便性が向上するうえ、東西線の混雑緩和にもつながります。さらに、発展を続ける臨海部と深川地区・城東地区の行き来もスムーズになるそうです。
「南北がつながれば街の一体感も増し、アクセスの良さだけでなく経済や文化の交流も期待できます。新駅をつくることで、賑わいやまちづくりにもプラスになると考えています」とは、江東区の地下鉄8号線事業推進担当の前課長・小林秀樹さん。
江東区は2010年度から地下鉄8号線建設基金の積立を開始し、現在80億円を積み立てています。また、豊洲市場を開場する際、東京都は区に対して土壌汚染対策、賑わいの整備、地下鉄8号線を含めた交通対策の3つに取り組み、8号線については2018年度を目途に事業スキームを構築するとの方針を示しましたが、今も事業スキームは示されていない状況。
なぜなのか?「実は東京メトロが民営化した際に、副都心線を最後に新線をつくらない方針を打ち出したのです。これが大きなネックとなっている」と、小林さん。
しかし、2021年1月21日に国土交通省は、東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方などについて議論する、有識者による委員会を立ち上げました。東京メトロが果たすべき役割や、地下鉄8号線延伸の必要性についてもあわせて議論し、今年7月頃には答申案をまとめる予定です。答申内容によっては一気に延伸構想が進展する可能性もあり、区は期待を寄せています。
小林さんは「今回は踏み込んだ内容で、小池都知事もこれに先駆け、東京メトロが果たすべき役割を十分勘案してほしいと赤羽国土交通大臣に述べています。山﨑区長も8号線延伸は区民の長年の悲願と訴え続けています。ぜひ地下鉄8号線延伸が実現するような答申が出ることを望んでいます」と語っています。